消化器外科について
消化器分野の診療は広範囲であり、病気の状態、程度により内科的治療から外科的治療まで多岐にわたります。
当科では消化器診療において外科手術を主体とした治療を担当しておりますが、内科領域と重なる疾患も多数あり、消化器内科と協力しながら診療にあたっております。
近年、消化器外科手術では腹腔鏡下手術(鏡視下手術)を取り入れております。
現在、当科でも腹腔鏡導入数は増加しておりますが、腹腔鏡手術は手段であって目的ではありません。安全性を十分に考慮した上で取り組んでおります。
患者さんの負担を軽減できるよう腹腔鏡手術を積極的に導入しており、大腸がんについては約8割を同手術で対応しています。婦人科、放射線科、病理診断科などの他科とも緊密に連携し治療にあたります。
手術件数 2021-2024
臓器 | 2021 | 2022 | 2023 | 2024 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
開腹 | 鏡視下 | 開腹 | 鏡視下 | 開腹 | 鏡視下 | 開腹 | 鏡視下 | |
食道 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
胃・十二指腸 | 17 | 2 | 15 | 7 | 15 | 7 | 23 | 0 |
小腸・結腸 | 32 | 92 | 52 | 84 | 57 | 44 | 56 | 29 |
直腸・肛門 | 27 | 6 | 26 | 7 | 36 | 12 | 19 | 52 |
肝 | 1 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 2 | 0 |
胆 | 11 | 59 | 11 | 103 | 5 | 93 | 11 | 63 |
膵 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 |
ヘルニア | 19 | 43 | 9 | 57 | 16 | 69 | 23 | 42 |
その他 | 17 | 2 | 17 | 2 | 30 | 4 | 34 | 8 |
計(件) | 138 | 205 | 130 | 260 | 162 | 229 | 168 | 194 |
医師紹介
船橋 公彦/Kimihiko Funahashi
副院長
PROFILE
- 東邦大学(1986年卒)
- 東邦大学医療センター大森病院 消化器センター外科教授(2015年4月~2024年3月)
- 東邦大学医療センター大森病院 副院長(2018年6月~2024年6月)
- 東邦大学名誉教授
- 東邦大学客員教授
- 日本外科学会指導医・専門医
- 日本消化器外科学会指導医・専門医
- 日本がん治療認定医機構がん治療認定医
- 緩和ケア研修修了
- 日本大腸肛門病学会指導医・専門医
- 日本内視鏡外科学会技術認定医
- ロボット支援手術daVinciトレーニング修了
- 日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会ストーマ認定士
- 消化器癌
- 腹部外傷
- 救急医療
- 腹腔鏡下手術
- 直腸・肛門良性疾患
長田 俊一/Shunichi Osada
消化器センター長
PROFILE
- 防衛医科大学(1991年卒)
- 横浜えきさい病院
- 横須賀市立病院
- 静岡県静岡がんセンター
- 横浜市立みなと赤十字病院
- 府中恵仁会病院
- 千葉メディカルセンター
- 大船中央病院
- 日本外科学会指導医・専門医
- 日本消化器外科学会指導医・専門医
- 日本内視鏡外科学会技術認定医
- 日本大腸肛門病学会指導医・専門医
- 日本がん治療認定医機構がん治療認定医
- 消化器癌
- 腹部外傷
- 救急医療
- 腹腔鏡下手術
- 直腸・肛門良性疾患
嶋村 和彦/Kazuhiko Shimamura
部長
PROFILE
- 新潟大学(1998年卒)
- 新潟大学病院
- 日本外科学会専門医・指導医
- 日本消化器外科学会専門医・指導医
- 日本消化器外科学会消化器がん治療認定医
- 日本消化器病学会専門医
- 日本がん治療認定医機構がん治療認定医
- 消化器・一般外科
- 腹腔鏡下手術
貴島 孝/Takashi Kijima
医長
PROFILE
- 鹿児島大学医学部(2009年卒)
- 鹿児島大学消化器・乳腺甲状腺外科
- 米国ペンシルベニア大学獣医学部 博士研究員
- 米国コロンビア大学医学部 博士研究員
- 済生会川内病院
- 日本外科学会外科専門医
- 日本消化器外科学会専門医
- 日本消化器外科学会消化器がん外科治療認定医
- 日本がん治療認定医機構がん治療認定医
- 緩和ケア研修終了
- 医学博士
吉水 信就/Nobunari Yoshimizu
非常勤医
PROFILE
- 東邦大学(1998年卒)
- 埼玉メディカルセンター
- 東戸塚記念病院
- 日本外科学会専門医
- 日本消化器内視鏡学会専門医
- 日本がん治療認定医機構がん治療認定医
- 検診マンモグラフィー読影認定医
- 初期臨床研修指導医
- 緩和ケア研修修了
- 消化器癌
- 腹部外傷
- 救急医療
おしり(痔)の専門外来のご案内 令和7年10月よりスタートします
診療日
第1, 2, 5火曜日:14時00分~16時00分
第4水曜日:10時00分~11時30分
外来を診療される方へ
はじめて受診される方は診療情報提供書(紹介状)をお持ちください。
外来診療は予約制となっておりますので、受診の際は必ず受診予約をお願いいたします。
主に扱う疾患
痔核(いぼ痔)
病気の特徴:
主な症状は、脱出と出血です。
出血性内痔核では排便後にトイレットペーパーに鮮血が付着することが多く、時に便器が血液で真っ赤に染まり驚いて受診される方もいます。
脱出性内痔核では、痔核が肛門外に突出してくるために肛門の違和感や下着が便や血液で汚れることが多いです。
治療法:
軽度の脱出や出血に対しては保存的治療として便通のコントロールと軟膏療法を行います。
出血が多い場合や、排便のたびに指を使って痔核を肛門内に戻す必要がある(或いは戻らない)場合には手術をお勧めします。
裂肛(切れ痔)
病気の特徴:
肛門の入り口が傷ついたときにおこる痔で、頑固な便秘の方に多くみられます。激しい痛みと鮮血様の出血を認めることが多いです。
一時的な切れ痔では、軟膏療法と便性のコントロールで多くが改善します。切れ痔を何度も繰り返し慢性化すると、肛門が狭くなり、潰瘍を形成することがあります。
切れ痔の多くは肛門の後方に発生しますが、前方にも発生することもあります。
治療法:
一時的な切れ痔は、便通をコントロールしつつ軟膏療法で治療を行いますが、潰瘍化した切れ痔や肛門に狭窄を認める場合には手術が必要となります。
肛門周囲膿瘍・痔瘻(あな痔)
病気の特徴:
肛門に細菌感染がおきて、化膿したものが肛門周囲膿瘍です。
主な症状は、肛門周囲が赤く腫脹し痛みで椅子に座れなくなることが多いです。また、膿が皮膚側に排膿されて管として残ったものが痔瘻です。
痔瘻の多くは肛門周囲の浅いところに発生しますが、クローン病、結核、HIV感染、膿皮症などの特殊な病気に関連して発生することもあります。
治療法:
化膿がひどい場合には、膿がたまった部分を切開して排膿が必要です。通常、切開・排膿は腰椎麻酔下に行いますので入院が必要となります。痔瘻になった場合には自然治癒することは稀で、通常手術が必要となります。
手術の方法は様々で、その病態に合わせて術式が選択されます。
直腸脱
病気の特徴:
高齢者の女性に好発する病気です。排便でいきんだ時に直腸が肛門の外に全周性に脱出してくるのが特徴です。
脱出の程度は様々で、数センチから数十センチにも及ぶものがあります。主な症状は、起立しただけで肛門から直腸(通常ピンク色)が脱出してしまう、脱出した直腸が傷つき下着が血液で汚れる。また、排便のたびに直腸が脱出するため排便がうまくできないなど、日々の生活に大きな支障をきたします。なお、同様な症状をきたすものに痔核(いぼ痔)による脱肛がありますが、外来の診察で簡単に区別が可能です。
直腸脱では子宮や膣、膀胱の骨盤内臓器の脱出が合併することが多いため、注意が必要です。
治療法:
原則、治療は手術となります。
直腸の脱出状態から、肛門側から行う手術(会陰式アプローチ)とお腹から小さな傷で脱出してくる直腸を固定する腹腔鏡下直腸固定術の2つの方法があります。
なお、子宮や膣、膀胱脱を合併した直腸脱は、併せて脱出してくる臓器と脱出の程度によって術式が選択されます。
直腸瘤
病気の特徴:
直腸と膣の間の壁(直腸膣中隔)が弱くなってしまったことが原因でおこる病気です。症状は、いきみ時に膣側に直腸が瘤(こぶ)のように飛び出し、瘤に便が溜まってしまう結果、スムーズな排便ができなくなるのが特徴です。
直腸瘤の患者さんでは、排便のたびに膣に自分の指を入れて瘤を抑えながら排便しないと便が出せない特徴があります。
治療法:
食事療法や薬剤による便通のコントロールに合わせて排便指導を行います。
大きな直腸瘤が認められ排便に障害をきたしている場合には直腸膣中隔を補修する手術が必要となります。
疾患のイメージ図
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執筆著書・関連論文
- 船橋 公彦, 三浦 康之, 栗原 聰元.【肛門疾患のすべて 解剖から最新治療まで】完全直腸脱に対する会陰式手術消化器外科(0387-2645)47巻8号 Page913-920(2024.08)
- Miura Y, Funahashi K, Kurihara A, et al. The Predictive Risk Factor of Postoperative Recurrence Following Altemeier's and Delorme's Procedures for Full-thickness Rectal Prolapse: An Analysis of 127 Japanese Patients in a Single Institution. J Anus Rectum Colon. 2024 Jul 30;8(3):171-178.
- 栗原 聰元, 船橋 公彦, 三浦 康之.【必携 消化器・一般外科医のための外科解剖アトラス】肛門疾患・直腸脱 腹腔鏡下直腸固定術に必要な骨盤内解剖(解説).手術(0037-4423)78巻4号 Page665-673(2024.03)
- 三浦 康之, 船橋 公彦, 栗原 聰元, 他【-消化器・一般外科-研修医・専攻医サバイバルブック-術者として経験すべき手技のすべて】直腸・肛門 直腸脱手術(経肛門的) Delorme法,Altemeier法,Gant-三輪-Thiersch法. 臨床外科(0386-9857)78巻11号 Page221-228(2023.10)
- Kurihara A, Yoshino Y, Sakai Y, Miura Y, Kagami S, Kaneko T, Ushigome M, Shiokawa H, Kaneko H, Funahashi K. Linear Pinched Hemorrhoidectomy: A Retrospective Observational Study (An Innovative, Simplified Hemorrhoidectomy). J Anus Rectum Colon. 2021 Jul 29;5(3):261-267.
- 三浦 康之, 船橋 公彦, 栗原 聰元, 他.【Stepごとに要点解説 標準術式アトラス最新版】肛門 直腸脱根治術 腹腔鏡下直腸固定術,Delorme法,Altemeier法,Gant-三輪-Thiersch法. 臨床外科(0386-9857)76巻11号 Page168-179(2021.10)
- Funahashi K, Kurihara A, Miura Y, Ushigome M, Kaneko T, Kagami S, Yoshino Y, Koda T, Nagashima Y, Yoshida K, Sakai Y. What is the recommended procedure for recurrent rectal prolapse? A retrospective cohort study in a single Japanese institution. Surg Today. 2021 Jun;51(6):954-961.
- 三浦 康之, 栗原 聰元, 吉野 優, 吉田 公彦, 船橋 公彦.【直腸脱の手術】直腸脱に対するAltemeier法. 手術(0037-4423)74巻11号 Page1535-1541(2020.10)
- 三浦 康之, 船橋 公彦, 栗原 聰元,他. 【保存版!臓器脱の診断と治療】直腸脱に対する腹腔鏡下posterior suture rectopexyの適応と手術手技. 外科(0016-593X)82巻10号 Page1048-1054(2020.09)
- 木村 和孝, 船橋 公彦, 甲田 貴丸, 他. 子宮脱用リングペッサリー留置による高齢者の直腸腟瘻に対し有茎大網充填が有用であった1例. 日本消化器外科学会雑誌(0386-9768)52巻2号 Page112-118(2019.02)
- 吉野 優, 栗原 聰元, 船橋 公彦, 他.【肛門を極める】診断と治療 直腸脱. 臨床外科(0386-9857)74巻6号 Page731-737(2019.06)
- 船橋 公彦, 栗原 聰元.【目で見る肛門疾患】直腸脱の治療 腹腔鏡手術. 成人病と生活習慣病(1347-0418)46巻12号 Page1569-1574(2016.12)
- 栗原 聰元, 船橋 公彦, 鈴木 孝之 他. 手術手技 直腸脱に対する直接縫合固定による腹腔鏡下直腸固定術(suture rectopexy). 手術(0037-4423)70巻10号 Page1339-1344(2016.09)
外来担当医表
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | |
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午前 | 貴島 孝 | 嶋村 和彦(5.19.26日) 貴島 孝(5.19.26日) *9時30分~ |
長田 俊一 船橋 公彦(13.27日) *10時00分~ 吉水 信就 *13.27日は10時00分迄 |
嶋村 和彦(7.21.28日) | 長田 俊一(1.15.22.29日) | 長田 俊一(16.23日) 嶋村 和彦(9日) 貴島 孝(2.30日) |
午後 |
※女性はピンク字で表記