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疾患と治療について

卵巣腫瘍

※チョコレートのう腫は子宮内膜症をご覧ください。

症状・疫学

図 卵巣は子宮と骨盤に靭帯(ひものようなもの)でぶら下がっている、子宮の左右にある2~3cm大の、卵を持った、女性ホルモンを放出している臓器です。
その卵巣にこぶができた状態が卵巣腫瘍です。良性、境界悪性(中間型)、悪性腫瘍に分類され、その種類は多彩です。

1.漿液性嚢胞腺腫

さらさらの液体が溜まった腫瘍で全卵巣腫瘍の15~25%を占めます。

2.粘液性嚢胞腺腫

粘液が溜まった腫瘍で全卵巣腫瘍の5~30%を占めます。30㎝を超える大きさに成長することもあります。

3.成熟嚢胞性奇形腫 (皮様嚢腫)

脂肪、髪の毛、歯などが溜まった腫瘍で全卵巣腫瘍の15~25%を占めます。あらゆる年代に見られますが20-40代に多く見られ、妊娠をきっかけに見つかることも少なくありません。

 

その診断には超音波検査、MRI・CT画像検査や腫瘍マーカー検査などを行い判断していきます。
しかし診断精度には限界があるため、手術にて腫瘍を取り除き病理検査を行うことが必要となります。(*腫瘍マーカー:腫瘍細胞が存在することで作られる物質で、がんの診断の補助などに使用しますが、良性腫瘍でも上昇することがあります。)
自覚症状としては腹部膨満感(お腹の張り)、下腹部痛、頻尿などがありますが、症状がない方も多くいます。
中には赤ちゃんの頭くらいの大きさになっても腫瘍の成長速度がゆっくりなことが多いため太ってきたと思う方も少なくありません。
ただ腫瘍が捻じれる=卵巣腫瘍茎捻転や破裂を起こした場合には急激な下腹部痛が起こります。

治療法

薬などでは小さくすることできないため、手術が基本となります。
当院で行っている卵巣腫瘍に対する腹腔鏡下手術では、下記のような手術創になります。
腫瘍の大きさ、種類、手術したことがあるか、などふまえて決めていきます。

腹腔鏡下卵巣腫瘍摘出術

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腫瘍のみを摘出し正常部分を温存します。
妊娠を希望する方や閉経前の方に対して行います。

腹腔鏡下付属器切除術

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付属器(卵巣・卵管)ごと摘出します。
閉経後の方や腫瘍と正常部分が分けられないような場合に行います。

どちらを選択するかは、検査結果と患者様の希望をふまえて決めていきます。
ただし悪性腫瘍の疑いがある場合には、積極的には腹腔鏡下手術は行っていません。

この手術では、以下のような傷になります。

単孔式

単孔式

手術後に臍が変形してしまうことがあるとされる手術法ですが、この変形を極力抑える当院オリジナルの切開法です。

多孔式 (パラレル法)

多孔式(パラレル法)

当院では可能な限り体へのダメージを減らすために3箇所の穴(3孔式)で行っています。(通常他院では4孔式です)

 

実際の写真

手術前

手術前

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手術後

手術後